わたしの両親は鳥取出身です。 その昔、冬の鳥取はうんざりするほど雪ばかりで、ずっと家に籠らなければならなかったと、聞いています。(今は積雪量は少なくなりましたね)
その鳥取の祖父母の家の、庭の真ん中に大きな温室がありました。その中には、バナナの木のような南国の植物やら、いくつものサボテン、その他、珍しい植物がたくさん並んでいた記憶があります。
もう25年ほどになりますか、祖父母が亡くなった後、そのいくつかのサボテンも形見として、我が家に連れて帰ってきました。
そのうちの一つが、こちらです。はじめはもっと小さかったのに、サボテンの子の数ばかり増えて、大きな植木鉢から溢れんばかりに育ったのですが、いっこうに花が咲きませんでした。
ところが、今年、初めて花芽がついたのです。(いつものように、サボテンの子が増えるとばかり思っていました)
今年はサボテンの花がよく咲くようで、他のサボテンも花をつけていましたが、こちらは25年間、一度も咲いたことがないため、興味津々で見守りました。
なんと、蕾は首をぐんぐん伸ばすように大きくなり、ついに白い花が!
夕暮れ時、すこし開きかけていたので、寝る前にもう一度、庭に様子を見に出てみたら、暗がりのなかで、灯りのように大きな花を咲かせていました。
わたしの誕生日の夜のことでした。
本当に不思議なこともあるものです。なぜか、この日だったんだね。
「はじめまして」のその花の姿があまりにも想像からかけ離れていたので、驚くばかりです。
その姿カタチすべてが、神秘そのものです。
このサボテンに内在していたものが現れたと思うと、言葉で言い表せない感動がありました。翌朝、手に取って、まじまじと見つめて感心しました。
おじいちゃんが私の誕生日を祝ってくれたのかな。
ありがとう。おじいちゃん。
朝霧カタツムリ