ほんとうの愛

 

これ、なんの果実がわかりますか。

 

「風船かずら」といって、夏のはじまりから終わりまで、グリーンカーテンとして、庭を涼しげに飾ってくれる植物です。

 

小さく可憐な白い花をつけた後、緑の風船のような果実をつけて、風に揺られています。その姿を目にする度、優しい気持ちになります。

 

子どもの頃から、この植物に馴染みがありました。たしか祖父母の墓参りに鳥取に帰る道中、立ち寄った休憩所に繁茂していたのを目にして、種を分けてもらったのでした。

 

あれから15年ほど、ずっと種を継いでいるのです。忙しくて、今年は種をまかないでおこうかと迷っても、このかわいい姿を見たくて、ちょっと頑張ってしまいます。

 

秋の気配が訪れると、緑の風船は茶色くなり、ひとつ取って耳のそばで振ってみると、中で種がコロコロ転がる乾いた音がします。

 

風船を割って、中の種を取り出すとき、何とも言えない懐かしい感覚がふわっと湧くのがわかります。

 

そのわくわくした自然の遊びを小さなヨーガのひと(孫)に味あわせてあげたくて、風船を摘んではためておきました。

 

 

案の定、小さなヨーガのひとは目を輝かせて、夢中で風船から種を取り出していました。

 

「ほら見て。この種にはハートがついてるよ」

 

「ハート! たのしいー!」

 

私の子どもの頃はゲームもなく、ネットの世界もなく、どこまでいっても五感で味わう遊びをしていました。

 

朝顔の色水遊び、土と水でおままごと、枯葉・枝・石、何でも身近なものがおもちゃでした。「おかあさんごっこ」に「学校ごっこ」……ごっこ遊びの中では、オトナにもなることができました。何にでもなれたのです。

 

こういう遊びは想像力と創造力を培うことができると思いますし、失敗を失敗とも思わないでただ経験することができます。

 

からだも心もバランスよく使って、おなかが空いて、眠たくなって。。。

 

本当にこどもを愛しているのなら、ぜひこういう遊びを経験させてあげてほしいです。

 

こんな遊びで満足するのかなと思っているのはオトナだけ。

 

いのちはもっともっと現実的な体験を望んでいると思うのです。

 

朝霧カタツムリ